若手論文優秀賞について

日本政治学会若手論文優秀賞について

日本政治学会は、若手会員の研究活動を奨励し顕彰するとともに、学会を通じた研究活動をさらに活性化するために、「日本政治学会若手論文優秀賞」を設けています(日本政治学会若手論文優秀賞規程第1条)。

最新の受賞作(1点)

  • 安田泉穂「利益団体によるロビイングの成功条件――規制改革をめぐる政策争点を単位としたデータセットによる検証」

(選評)
 政策過程における利益団体の役割という政治学上の重要問題に正面から挑んだ本論文は、日本の規制改革を事例として、団体などによる規制改革に関する提案とそれに対する対応可否を記した省庁の回答という、内閣府が公表している資料を用いて独自のデータセットを構築し、定量的な分析を行った労作である。分析の結果、アジェンダ設定段階では提案者に経団連など主要経済団体が含まれる場合にロビイングが成功する可能性が高く、政策決定段階においては提案者に多様な活動分野の団体が包摂されている場合に成功しやすいという知見を得た。
 規制改革を提案する利益団体の集合としての特徴およびそれに基づくロビイングの成否を、巧みなリサーチデザインによって客観的に捉えようとした点において本論文の意義は大きく、今後の利益団体研究を大いに前進させることが期待される。

若手論文優秀賞選考委員長 五百旗頭 薫